e2 gallery にて、KINJO 個展「Things in the corner」を開催します。
KINJO は企業ロゴや商品パッケージなど、消費社会の記号をモチーフに絵画作品を制作するアーティストです。家族のルーツが沖縄にある KINJO の作品は、沖縄を通じて子供の頃から触れてきたアメリカ文化の影響が大きいのが特徴です。またこれらの消費社会における記号に加え、暗闇の中で光る目玉や色とりどりの蛇などが作中に登場しますが、それらは彼自身が子供の頃感じていた他人の視線に対する恐怖が背景にあります。
本展では、タイトル「Things in the corner(隅にあるもの)」が示すように、街で見かけた景色に着目し近年制作しているキャンバスをつぎはぎし、木枠という支持体から離れた歪なパッチワークの作品に焦点をあてた展示となります。
街中における注意喚起などの役割りを持つコーンが、役目を終えて忘れられたように街に置かれた光景にしばしば出くわすことは誰もが経験しているのではないでしょうか。
時には風化し、劣化したものがありながらも、それらは景色の一部になったようでいて、どこか馴染みきれていないような違和感を感じるのは、その既存の役目から解き放たれつつも、矛盾したような存在感にあるように思います。
KINJO の製作の原点として度々持ち出される、身の回りで見て感じた光景がフィードバックされたようなこの作品は、付き纏う意味性やイメージの表層を深く言及するのでは無く、あくまでその場の光景やインスピレーションをそのまま繋ぎ止めているかのようにキャンバスをパッチワークすることで表現されています。
既視感や既存の認識からくるモチーフの意味性は、支持体を離れ繋ぎ止められるようにカタチをなしたパッチワークの手法を介することで、作品が放つ鮮烈な表層のイメージや物質性を持ちながらも、相反する曖昧さやどこか所在を失ったような不明瞭さのような感覚的なものを同時に孕んでいます。
これはフィジカルとデジタルの多層なレイヤーが混在する、現代特有の歪みが感じさせるあいまいな自己の所在や立ち所の不明瞭さを表出させつつも、そんな不確かな自分の立ち所をそのままに受け入れ、現実に留めるための装置なのかもしれません。
開催期間:2025/2/21(金)~3/9(日)
時間:平日13:00~19:00 土日祝10:00~18:00
定休日:無し
レセプションパーティー : 2/21(金) 18:00~21:00
FOOD - PEP SANDWICHES @pep_sandwiches
KINJO @knjstupi
東京生まれ。
沖縄にルーツを持ち、日本と関わりの深いアメリカ文化を題材にした絵画や立体、パフォーマンスを発表している。「暗闇に光る目」「シリアルパッケージ」「蛇」などの記号を、“描いて”は“消す”をくり返す作業のなかでアウトラインが薄ぼけ曖昧となり、作家自身のポートレイトのように愛嬌のある姿で「個人的な存在」に変容する。それは KINJO にとっての自画像のようなものであり、自身のルーツを掘り下げていく行為でもある。